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先日の記事で、打点を遠くすることでのメリットを紹介しました。
今回は慣性モーメントについて考察します。

運動力学の見地から

回転体の運動エネルギーは慣性モーメントに比例する
E = I  ω ^2 / 2
慣性モーメントは中心軸からの距離の自乗に比例


という前提に基づいて考えていきます。

助走距離を長く取るだけラケット速度はアップすることは、上記式で言う角速度ωが増加します。

さて、フォアハンドストロークの様子を見てみましょう。



この場合、肩を中心とした回転運動になりやすい。




インパクトをより前方に取ることはつまり腕を前に伸ばすことになり、必然的に回転中心は体幹に取られる。上記2つの図を見て分かるように明らかに打点が前方にある”R2”の方が回転中心軸からの距離が長い、つまり慣性モーメントが大きいことがいえるのです。

一般のプレイヤーの多くは肩を中心としたスイングになっていることが見うけられます。
仮にR1とR2が2倍の差があるとし、さらに助走距離による角速度の差も2倍だとすれば、単純に計算しても、2^2×2=8 打点を前方にすることで8倍も運動エネルギーが増えることになるのです。

重いものは体の近くに置く

さらにもう一つ、ラケットセットの時点でのラケットの位置ですが、フェデラーの解析結果からかなり体に近い位置にラケットが保持されていることが分かっています。



重量のあるものは回転中心に置くことで、より早く加速できることは、先にあげた運動エネルギーの式でも明らかです。上図で示すR3を短くすることで慣性モーメントは最小化しスイングの始動時の必要エネルギーを出来るだけ小さくすることで、回転しやすくそして最大スピードを得やすくなるでしょう。
スイング初期の加速度アップも考慮すると、打球のパワーアップは8倍からさらに増大することでしょう。

この慣性モーメントを利用したスポーツの一つが砲丸投げだと思います。砲丸投げについては過去の記事でも紹介しましたのでそちらも合わせて参照いただければと思います。
投球動作の初期においては砲丸は体幹に最も近い位置=あごの下に付けられています。その位置から体の回転運動を伴って大きく前方に投げられています。その時のポジションでは慣性モーメントが最大に達しているとも考えることができます。

砲丸のようなかなりの重量物を遠くに飛ばせるのも、運動力学に則った動作があるからなのですね。



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コメント
この記事へのコメント
すごい分かりやすいです
はじめまして、
テニスの虫と申します。
いつも、楽しくみさせてもらっています。

打点を遠くすれば打球が、
パワーアップというのも、
図で見ると、
すごい分かりやすいですね。

大変参考になりました。
2008/11/23(日) 12:55 | URL | テニスの虫 #T61Yk/ps[ 編集]
R2
R2:打点が遠い。→身体ターン
R1:打点が近い。→手打ち気味

この体感の差を、論理的に解説されている点が素晴しい。
「R2」の実現の重要性が、一目瞭然ですね。
2008/11/23(日) 23:44 | URL | K #-[ 編集]
分かりやすさこそ、指導法の要
テニスの虫さん、コメントありがとうございます。知っているつもりのことでも、意外ときちんと理解していないことがあるものです。正しい理解は正しい上達へと導くと信じて、これからも記事執筆がんばります。

K様いつもありがとうございます。

 一般の方の多くは打点が近いようにも思えます。そのために手打ちになってしまうのかも。また反対に考えれば、手打ちだからこそ打点が近いのかもしれません。鶏と卵のような関係、打点を前に取ることを意識すれば、すべてが良い方向へとつながっていくような気がします。
2008/11/24(月) 09:17 | URL | テニスリゾート99 #8GvDcjBU[ 編集]
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