
テニス雑誌でよく見ることができる連続写真ですが、一昔前であればスチル写真を時系列に並べただけでしたが、最近ではデジカメと編集ソフトの技術の進化によって、同じ背景の中で選手だけが連続して(正確には離散的に)動いているように見せる合成写真を使う物も見かけるようになりました。一見すると大変見やすいのですが、これには大きな罠が潜んでいるのです。
連続写真となる元のイメージデータはスチルカメラでの連写によって作られます。ビデオ映像から生成する方法もありますが、スチル写真程には解像度は良くなく印刷物にした場合はどうしても画質が粗くなってしまいます。この様子を模式的に表すと下のようになります。

選手の動作を、ある瞬間、瞬間でスチル写真として切り取っていきます。ここから選手の部分だけを切り取って1枚の写真の上に並べていくとこのようになります。

このようにストロークの動作の連続写真が出来上がりです。
実はこの写真には嘘が含まれているのです。というのは、実際にはデモンストレーターはボールに回り込んでからフォアハンドストロークを打っているのですが、この写真では来たボールに対して回り込むことなくまっすぐに打ち返しているように見えます。この連続写真を作るために、回り込むための重要なステップをいくつか意図的に削除したうえで、切り取ったデモンストレータのイメージを直線的に並べています。この例では意図的に実際の動作=回り込みのステップダウンとは異なる動作=回り込まないステップダウンを連続写真として作ったのですが、意図しない実際の動作とは異なる連続写真を作ってしまう場合もあるのです。
スチルカメラの連写機能というのは1秒間に数コマから多いもので10コマ程度の写真を取ることができます。ただしプロの素早いスイングを捉えた場合、動作が速すぎるため、実際に撮影した各コマとコマの間の情報が多く抜け落ちてしまいます。その抜け落ちてしまった時間の間に重要な動作が潜んでいることも。雑誌の記事ではカメラマンが撮った何枚ものスチル写真の連続から解説を行うコーチの方がいくつかピックアップして、写真をもとに解説をしていきます。実際に写真を撮った現場に立ち会っていないため、写真で得られる情報のみから解説を行うため、コーチの元に出された写真によっては、また写真の見ようによっては選手の動作を間違って解釈することもありうるのです。たとえば回り込んでクロスに打っているシーンを、回り込まずに逆クロスに打っているという全く異なった解釈もしてしまうかもしれません。
さらにもうひとつ、編集者やデザイナーの手によって写真は読者に見やすいように並べかえられ連続写真として形となるのですが、このときにも意図しない嘘をつくことがあるのです。写真を重ね合わせる上で選手の動きが少なく止まっているような場合、選手を切り取ったイメージを単純に重ね合わせると、イメージの重なりが多くなり見栄えが悪くなってしまいます。見栄えを良くするために少しずつずらしていくことで、重なった部分が少なくなりそれぞれのイメージを確認しやすくなるのです。しかしずらした方向や距離によっては選手が実際に違う方向に大きく動いているようにも見えてしまうことにもなりかねません。今回例として作成した連続写真では意図的にネット方向にデモンストレーターが動いているように見えるように各コマのイメージを並べ替えています。一見、ネット方向にしっかり踏み込んで打っているように見えている連続写真も実は、意図的につくられたシーンだったんです。
今回雑誌の連続写真における盲点を紹介しました。良い点ももちろんあります。ポイントとなる部分をクローズアップしたり、矢印や線、イラストなどをオーバーラップすることで解説の助けとなります。DVDとしての映像でのイメージのしやすさ、雑誌等の写真やイラストによる解説のこまやかさの両方をうまく使って、テニス上達の学習に役立ててもらえればと思います。
テニス上達DVD「勝者のフットワーク塾TheBasic」では映像技術を駆使しての、ストップモーションや重要ポイントを示すクローズアップと図のスーパーインポーズを盛り込み、これまで以上に分かりやすい教材となりました。今回の記事での連続写真の作例で取り上げましたフォアに回り込んでのフットワークもTheBasicで紹介しており、誰もが分かりやすく学習することができます。DVDについて詳しくはWebサイトでご確認下さい。
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