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前回はガットのテンションについて書いたのですが、今回は張りあがったあとのガットの状態の評価方法について書きます。
テンションを測る
よく知られている評価方法としてはテンションメーターを使ったガットのテンションを測定する方法があります。

これがもっともポピュラーと思われる製品です。ガットをはさんでねじる事でテンションを計測します。前回テンションと面圧の関係について説明したようにここで計ったテンションの絶対値とボールの飛びとの関係はありません。しかもゲージ径やクロスとメインの交差部分の摩擦状態によって測定値に誤差が生じます。そういう意味では厳密な評価は難しくあくまでも簡便な評価と思ったほうが良いようです。アメリカのWebショップでは$20で売られていますが、日本のショップでは4,000円〜5,000円程度となります。
面圧を測る
Babolat's Racquet Diagnostic Center (RDC)がガット張り専門店には置いてあることが多いと思います。これで面圧の他、スイングウェイト、ラケットの剛性、バランス等が測れ、ラケットの評価全般に用いられます。各評価値を元に、パワー、コントロール、操作性といった総合評価をA,B,Cランク付けも可能です。面圧の測定はガット面に一定の荷重をかけたときのたわみ量を計測するものです。Ra-Test社からも面圧測定機は販売されていますが、この2社の測定値には相関はないようです。RDCで面圧50としたときにRaTestのテスターでは同じ50の値が出てくるわけではないのです。2社の測定器の測定条件(測定荷重、荷重面積等)が異なることが起因していると思われます。

DT(ダイナミックテンション)を測る

Gamma ERT 300 Tennis Computer
ガットの面圧(ダイナミックテンション)の測定の他にパワーと攻撃力を表示することも出来ます。またガットの寿命がきていれば、親切に教えてくれさえします。測定方法はガットに振動を加えて測定しています。Babolat RDCは一定荷重をかける、いわゆる静的(Static)な評価方法に対して、ERT300はガットに振動を与えるという動的(Dynamic)な評価方法といえます。気になるPriceはというと$250ということで少々高めではあります。RaTest社の面圧測定器と相関が取れるとの報告もあり、オンコートではERT300で測定を行い、この値をRaTestの値に換算することで、次のガット張りの条件(テンション)の目安に役立てることも可能です。

但しこれらの面圧測定器は常用域の中心が50になるような出力レンジとなっています。つまり一般的に推奨テンションである50ポンドないしは60ポンドでしっかりと張ったラケットを測定した時に面圧で50前後の値が出るようになっています。ところが実際のガット面の反発力が10%変化しても、面圧測定器で出てくる値も10%変化するという保証は無いのです。
また、使い方によっては測定誤差が大きく、測定するごとに違った値が出てくるとの報告もあります。

簡易的でかつ動的な評価方法(音響測定結果からの評価方法の構築)
最後に本Blogのオリジナルの評価方法をご紹介します。ガットをはじいた時の音の周波数を解析することで面圧の相対評価をする方法です。Acoustic analysis for the string bed stifrness (ACASS)。よく、ガットの硬いか軟らかいかを知るのに手の甲で叩いてそのときの音を聞いたりしますが、これをより正確に数値評価するのです。面圧を共振周波数で置き換えて評価するので、張ってからの面圧の変化を精度よく評価でき、実際の反発力の変化についても、後述する物理式から簡単に求めることが出来ます。基本的にはERT300 Tennis Computerでの面圧評価と同じ原理を用いています。ACASSでは面圧の他にも共振周波数のピーク値、Q値、高次の共振周波数を観測することができますので、インパクト時の衝撃がフレームや振動止めでどのように減衰していくかも評価することが出来ます。
ガットをはじいた音の周波数は簡単な物理モデルでは、f0 ∝ √(k/M)で表すことが出来ます。(f0:周波数、k:ばね定数、M:質量)ばね定数はガットのテンションに相当し、質量は縦横に張られたガットで構成される面の質量に相当します。テンションkが落ちれば、f0も下がってきますので、はじいた時の音が低くなって聞こえます。同じばね定数をもつようガットの張り方をしていてもガット自体の重さが異なれば、はじいた時の音の高さも異なって聞こえます。フェイスサイズが異なっても、同様のことが言えます。異なる2本のラケットを持ってきてガットのはじいた音を聞き比べてテンションの高い低いを議論してもあまり意味の無いことがここから分かります。
次に実際の評価の方法を説明します。使用するのはパソコンと音声入力用のマイク、FFT解析のソフト、ガットをはじくためのハンマーです。

音声入力のマイクはSkypePhoneのハンドセットを利用しました。ハンマーは打撃部が軟らかい材質の方が倍音が発生しにくくにガット面の共振周波数の評価しやすい利点があります。今回はテニスボールを使ってみました。FFT解析ソフトはFFTAnalyzer Ver.2.4というシェアウェアを使いました。

実際にハンマーをガット面にぶつけた時の音声をFFT解析ソフトで読み取ったところです。読み取った音声はWAVファイルとして保存できますので、FFTの評価はもちろん、実際の打撃音を後で聞き直すことも出来ます。画面上半分がWav波形、下半分がFFT解析の結果です。FFTでは各周波数におけるレベルを表示しています。FFT波形で持続するピークの周波数がガットの共振周波数になります。視覚的に共振点を読み取ることが出来ますので、ERT300にあるような測定誤差はありません。(測定誤差はFFTの周波数分解能に依存します)この例では630Hzに共振周波数があります。これを日々またはプレイを行った日ごとに評価を行い、評価値の変化を知ることで、ガットの面圧の変化の度合いを把握することが出来ます。また、評価値がある一定の変化をしたときに張替えのタイミングとするといった使い方も可能です。

このグラフの例では張り上げて3日程度は面圧の変化が大きく、それ以降は安定していることが分かります。このデータではラケットが未使用での評価値を使いましたが、ラケットを使用した場合はその使用程度によって傾向も変化してきます。

  • テニスコンピュータERT-300と同等の面圧評価が可能
  • 波形をビジュアルに確認することで測定エラー(誤差)を最小限にする
  • パソコンにマイクを接続して、ソフトウェアをインストールすればすぐに使える
  • 費用はほとんど発生しない。(一部ソフトウェアによってはレジストレーション費用が発生します。)
  • 実際のストリング面上での圧力の変化量を知ることが可能

ホームストリンガーは勿論、ガットの面圧にこだわるプレイヤーの方は一度試してみてはいかがですか?
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2007/02/07(水) 06:26:19 | そらの部屋